S&R RUDE BOY'S WAY

SHUDO&RUDIES、Vo.Gt.シュドーの日常やよく行く韓国のこと、バンドのことなどあげていきます!

真冬の狂想曲

真冬の狂想曲25

俺は腹に突っ込んでいたチャカを取り出した。平井と佐々木の顔が強張った。俺はそれを無視して、チャカからマガジンを抜き、銃身をスライドさせて銃身に残っている1発も抜き出した。そしてその1発をマガジンに押し込み、別々にしたまま松に返した。 「俺もう…

真冬の狂想曲24-4

リーガロイヤルに着き、今度はパクと一緒にエレベーターに乗り駐車場まで下りた。パクはまっすぐに松達が中村を押し込んでいる車に向かった。少し気後れしだしていた俺は3m程後ろからついていった。 パクが車まで辿り着くと、代わりに松が車から降りてきた。…

真冬の狂想曲24-3

俺達は5分程時間をずらしてコーヒーラウンジを出た。外で待っていた韓国人2人の姿はもうない。松達の姿も見えない。俺は松に電話をしようと携帯電話をポケットから出したが、思い直して携帯電話をポケットに突っ込んだ。これからどう動くかも分からないし、…

真冬の狂想曲24-2

俺は定刻通り夜7時にリーガロイヤルのコーヒーラウンジに入った。坂本はすでにテーブルに着いていた。佐々木と2人だった。ノブは坂本の後ろのテーブルにいた。俺は坂本を見ずにノブのいるテーブルまで歩いていき、わざとらしくノブに待ったかと聞き、坂本と…

真冬の狂想曲24-1

5時を少しまわった頃俺の携帯電話が震えた。液晶画面で相手を確認する。ノブからだった。俺は松にノブからの電話だと告げ通話ボタンを押した。 「首藤さん、今新幹線降りたです。ホテルに戻っていいですかね?」 俺はこのホテルの部屋の状況を見回し、ほんの…

真冬の狂想曲23-2

松の説明によると、そのもう一人の小柄な男もパクという名前だそうだ。松の兄弟分のパクと区別がつくように「スモールパク」と呼んでいると言っていた。そのスモールパクは、本国でも日本でも何人も殺していると松は教えてくれた。 松はパクと椅子に腰掛けた…

真冬の狂想曲23-1

2日後ノブから連絡が入った。今から新幹線に乗るところだと。ベッドに備え付けられている時計に目をやると、まだ8時前だった。先日坂本から松に入った電話だと、残金と中村の引渡しは今日の午後7時の予定だった。東京から小倉までは5時間半程で着くはずだ。…

真冬の狂想曲22-6

平井は事の成り行きを松から聞き終えると、全身の力が抜けたようになっていた。安堵感から来るものか、脱力感から来るものか分からないが、ちょっと前とは明らかに顔色が変わっていた。しかし、暫くすると堰を切ったようにまくし立てた。 「松崎さんの下で働…

真冬の狂想曲22-5

俺と松はとりあえず1211号室に戻った。その部屋の床には出る前に猿ぐつわをかませて縛り上げていた平井が、涙と涎と血に顔を汚したまま転がっていた。俺達が部屋に入ってきても動かなかったが、死んではいないようだった。松は平井の猿ぐつわを外し、ロック…

真冬の狂想曲22-4

松は暫く考えたあと、グラスの水を舐めてから口を開いた。 「わざわざ坂本さんも小倉まで出張ってくれてるし、俺もギリギリまで譲歩しましょう。…金は元金にプラス50でいいよ。実際このぐらいは経費掛かっとるから。ほんで、平井はこっちの手の中におるから…

真冬の狂想曲22-3

俺がテーブルについたときにはもう、松は本題に入っていた。ノブの後ろからゆっくりだが威圧的な声が聞こえる。 「坂本さん、どうしてくれるん?どう納得させて貰えるんやろうか?こっちは引っ掛かった銭以外にも、あんたら探すのに経費もかなり掛かってるん…

真冬の狂想曲22-2

「ノブ、あのおっさんがたぶん坂本やと思うんやけど、変わった様子ないか?まわりに仲間らしいのおらんか?」 「何もおかしい動きないですよ。一人みたいです」 どうやら、とりあえずは大丈夫そうだ。俺はノブにあの男の一つ前テーブルに座るように言った。…

真冬の狂想曲22-1

ノブが1211号室のドアをノックしたのは2時を少しまわった頃だった。俺の用意はもう出来ていた。俺はノブと一緒に部屋を出た。「小倉ステーションホテル」から「リーガロイヤルホテル」までは駅の連絡通路でつながっている。歩いても10分もかからない。俺達は…

真冬の狂想曲21-5

「どうした?誰やったん?」 松は事の成り行きを話し出した。俺は平井を嬲る手を止めてその話を聞いた。 「やっちゃん、向こうはもう泣きが入っちょんわ。もうこの辺で勘弁して欲しいってよ。今電話してきた坂本ってヤツが頭みたいなんやけど、そいつらの商…

真冬の狂想曲21-4

平井を散々いたぶって2時間ほど過ぎたとき、テーブルの上で松の携帯電話が振動しだした。松は携帯電話のディスプレイに映った電話番号を訝しそうに見て首を傾げた。知らない番号のようだ。その電話を取るかどうか悩んでいるみたいだったが、意を決したように…

真冬の狂想曲21-3

金を握って喜ぶザキをエレベーターに乗せて、俺は1211号室に戻った。部屋の中に入ると、平井が松と向かい合わせに椅子に座っていた。俺はゆっくりと近づき、思いっきり平井を蹴り倒した。 「お前、この状況でよう椅子に座ってゆっくりしとききるのー。正座じ…

真冬の狂想曲21-2

俺は松から視線を外し平井に視線を移した。平井は俺と目が合うと慌てて下を向いた。すかさず俺の右足が平井の脇腹に食い込む。平井はもんどりうって床に転がった。それでも執拗に俺の足は平井を嬲り続けた。今回は松も何も言わなかった。俺は平井の髪の毛を…

真冬の狂想曲21-1

ステーションホテルの1211号室に帰り着いて2時間程経った頃、松のもう一台の携帯電話が震えだした。松はその電話に出て話しながら部屋を出ていった。 5分後、松は怒りに顔を赤くして部屋に戻ってきた。 「どうしたん?難しい顔して」 「中村のヤツに逃げられ…

真冬の狂想曲20-6

バスセンターを通り過ぎるとその場所はすぐに分かった。俺は松木社長のクラウンの後ろにベンツを停めて車外に出た。 「平井、一歩も動くなよ」 俺は平井を恫喝し、前に停まっているクラウンに歩み寄った。俺がクラウンのドアに近づくより早く松はドアを開け…

真冬の狂想曲20-5

コーラを一口飲んだところで「シド・ヴィシャス」が歌いだした。俺はその大音量に気まずさを感じ、急いで通話ボタンを押した。 「やっちゃん、バスセンターの先にバスいっぱい停めちょん所があるけ、そこまで来てくれん?」 「今すぐかよ?」 「そう、今すぐ…

真冬の狂想曲20-4

駅にはちょうど今9時54分の下り電車が着いたところだ。まだ松達の姿は見えない。ベンツの車内も沈黙が続いている。俺はときどき意味も無く平井を睨みつけた。その度見せる平井の怯えた顔が、この退屈な時間を少し楽にさせてくれる。 5分後、ザキと松木社長の…

真冬の狂想曲20-3

ザキの買ってきたコーヒーを飲んで俺達はステーションホテル地下の駐車場に向かった。平井は俺とザキに挟まれて歩いている。駐車場に2台分のスペースを取って停まっている白のベンツS500が松の車だ。 「やっちゃん、転がしてくれん?左ハンドル大丈夫やった…

真冬の狂想曲20-2

缶コーヒーを飲み干し、バスルームで顔を洗っていると、もう一つのカードキーでドアを開けて松が1211号室に入ってきた。 「おはよう!やっちゃん。よく眠れた」 朝からこのテンションだ。高血圧の奴が羨ましい。 「まーボチボチの」 朝は機嫌の悪い俺は低い…

真冬の狂想曲20-1

携帯電話のアラームで叩き起こされる。ベッドサイドの時計は7時30分を指している。隣のベッドには昨日の昼前に律儀に現れたザキが眠っている。ベッドの下の床には平井が一昨日と同じ格好で転がっていた。それを見ても俺は何も感じない。麻痺してるのか、それ…

真冬の狂想曲19-2

駅の構内にあるコンビニはもう閉まっていた。俺は一人毒づいて真冬の夜中の街に歩きだした。5分も歩いてないが、1時間以上歩いたような気分だった。コンビニに入ると店内の暖気に身体も脳ミソも弛緩した。急に1211号室に戻るのが嫌になった。しかし戻らない…

真冬の狂想曲19-1

ザキを駅近くの駐車場まで送り、ステーションホテルに戻った。平井の待つ部屋に戻るのは憂鬱だったが、戻らないわけにもいかない。俺はエレベーターを待つ間中ずっと憂鬱だった。 1211号室にカードキーを挿してドアを開けた。かすかなアンモニア臭が鼻をつく…

真冬の狂想曲18-6

金は豊富にある。何でも好きな物が食えそうだ。恥ずかしながら50万もの大金を持って歩くことは始めてだった。俺もザキももともと貧乏人なんで、金のかかる食事なんてとったことがない。さんざん悩んだあげく、駅の近くの小汚い焼肉屋に入った。 ホルモンとカ…

真冬の狂想曲18-5

1211号室に戻ると、松と平井はルームサービスの夕食をとっていた。俺達の分はなさそうだ。俺はベッドの上に買ってきた下着を放り投げた。 「やっちゃんも何か食う?」 松は悪びれなく聞いてきた。 「俺はまだいいや、後でザキと何か外に食いに行くわ。あの金…

真冬の狂想曲18-4

松と平井は小さなテーブルを挟んで何やら話し込んでいるが、俺はその内容に興味はない。ザキとくだらない話で時間を弄んでいた。 「やっちゃん、悪いけどみんなの着替えやら買ってきてくれん?俺のは要らんけ」 「いいよ、ここにおっても時間潰れんけ。金は…

真冬の狂想曲18-3

「平井ー、どうか?まだ中村をかばって俺達にこみいられるか?それとも中村を売って楽になるか?」 「いえ、私も知っている事は全部話します…。金は確かに中村が全額管理しているはずです」 平井は静かにだがはっきりと中村について話しだした。 「私は会っ…